いわゆる従来型の広告コミュニケーションから、ネット時代の広告コミュニケーションにフトしましょうという話。より「消費者志向」というのが、本書の徹頭徹尾、一貫したメッセージ。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 )
【目次】
はじめに ~「なんだか小難しい時代になっちゃったな」とお嘆きの貴兄に
第1章 消費者へのラブレターの渡し方 ~広告という名の「口説き」の構造
第2章 広告はこんなにモテなくなった ~変化した消費者と広告の20年
第3章 変化した消費者を待ち伏せる7つの方法 ~彼らと偶然を装って出会うために
第4章 消費者をもっともっとよく見る ~コミュニケーション・デザインの初動
第5章 とことん消費者本位に考える ~スラムダンク一億冊感謝キャンペーンより
第6章 クリエイティブの重要性 ~商品丸裸時代とネオ茶の間の出現
第7章 すべては消費者のために ~消費者本位なチームづくり
おしまいに ~楽しくエキサイティングな時代なのだ
■「人の心なんてそうは変わらない」。それは正しい。でも、消費者は心を開いてくれなくなってしまった。
・ライブレターが相手の手に届きにくくなった。
・他に楽しいことが山とあり、相手はラブレター自体に興味をなくしている。
・ラブレターを読んでくれたとしても、口説き文句を信じてくれなくなった。
・しかもラブレターを友達と子細に検討し、友達に判断を任せたりする。
⇒ここ10年間(僕が思うに95年くらいから)の消費者の変化の比喩。僕が特に納得&共感したところは、“広告”そのものがエンターテイメントと成り得た時代があった、というところ。今は(一分をのぞいて…ソフトバンクくらいか?)、そんなのあまり見当たりませんよね。
■それではどうするか?
・相手の興味や行動を調べ、よくよく観察し、相手の身になってみる。
・その上で相手の行動を先読みして待ち伏せし、確実にラブレターを手渡す。
・他の楽しいことに目がいかないように、感動的なラブレターで口説く。
・相手の友達にも気に入られるように十分ケアする。
・また、ラブレターは渡した後も大事。
…このように、やることが確実に増えていっている。
⇒本書が書かれた2008年から、約4年。ようやっとこうした考え方が一般的になりつつあるような気がします。少なくとも熱心な就活生なら、これくらいは言えると思います。でも、なかなか実行できていない。理由は色々とあると思いますが、一番は「めんどくさい」じゃないかなぁ…。
■そもそも、広告がもてなくなった理由とは?
「ネットの出現+情報洪水+成熟市場」
【ネット】消費者の情報の流れが「トップダウン」ではなく、「ボトムアップ」に。【情報洪水】情報の数はこの10年で、10倍に。【成熟市場】殆どの商品に本質の違いはない。消費者も「どれもそんなに違わないだろう」と思っているのだ。
⇒これは広告屋の端くれとしても、如実に実感します。特に元コピーライターとしては、「成熟市場」というところに、すごく反応。差別化、差別化で、いつの間にやら、誰も反応しない訴求ポイントが出てくることがあります。僕はこれを「差別化のジレンマ」とよんでいます。
■ネイキッドというイギリスの有名なコミュニケーション・プランニング会社のジョン・ウィルキンス氏は講演でこんなことを言った。「私たちは、消費者をターゲットとは呼ばない。パートナーと呼ぶ」。消費者はすでに、広告で一方的に説得する対象ではなく、一緒にブランドを作っていく仲間なのだ。パートナーなのである。
■変化した消費者を待ち伏せる7つの方法
・消費者の今テクと・ポイントで待ち伏せる/店舗、該当、テレビ、ケータイ。渋谷の街すべてがコンタクト・ポイント。
・メディアミックスはすでにあるメディアを単純に組み合わせること。クロスメディアはコンタクト・ポイントを自由な発想で戦略的に組み合わせることだ。
・アイデアやテクニックに頼る、初動を間違える。初動で大切なのは、アイデアでもテクニックでもない。伝えたい相手をもっとよく見ることだ。ある車メーカーの依頼を受けて、チームをつくった。第一回目の会議からCM案やキャッチフレーズをつくってもってきた。従来なら熱心だと褒めるところだけど、メディアニュートラルな時代なら話にならない。
⇒自戒の念を込めて言いますが、「クリエーター」はアイデア・発想に頼りがち。そうではなく、まず市場調査や消費者を知ることが大事ということ。消費者を知り、彼らに合った広告コミュニケーションを考えることを、彼は「コミュニケーション・デザイン」と呼んでいます。
■「スラムダンクキャンペーン」(2004年)を行って分かったこと
・「初動に時間をかけることの大切さ」⇒伝えたい人はどんな人達なのか?自分たちが「伝えたい相手」になってみること。
・商品は消費者のものであるという発想。
・伝えたい相手にだけ伝えるというスタンス。
・相手を巻き込み、参加してもらうことの大切さ。
・コミュニケーション・デザインをやり抜くというのは実はすごく大変であること。
⇒具体的なノウハウこそ載っていませんが、これらのマインドは、これからの広告制作のあるべき姿かと。「コミュニケーション・デザインをやり抜くというのは実はすごく大変」かぁ……。
■コミュニケーションデザイン「仕事の進め方は『消費者の変化』に合わせて変化する」
⇒この発想も僕たちはついつい忘れがち。消費者を中心にすれば、とうぜん僕達の働き方・ポジション・仕事の領域も変わってくると思います。
■まとめ
筆者の佐藤尚之さんもおっしゃっていますが、ネット時代の広告制作というものは、本当に「大変」。そこへは、いま業界を牛耳っている40歳以上のおじさんはついて行けない。だからこそ、高校時代からネットを使いこなしてきた、僕らの世代は有利かもしれません。そう自分に言い聞かせながら、明日も頑張ります!
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